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20,遊ぶぞーーー!
「ではみなさん、事故にあわないように。2学期また全員、元気な笑顔で会いましょう!」
『は〜い』
7月もあっという間に過ぎ、いよいよ今日は1学期最後の終業式となった。
生徒たちは全員、体育館で校長先生のお話を聞いて、元気よく返事をして教室へと戻った。
そして各自通知票をもらうと、1学期最後の掃除を済ませ、担任にお別れの挨拶をして帰宅をはじめた。
「みんな、夏休みどうする?」
廊下を歩きながら、タケシが言った。
「ボクは、毎日塾通いです。“かてきょ”さんも、二人に増えましたし…あ〜あ」
デコが、ため息つきながら答えた。
「ボクは、店の手伝いバイ!」
「ウチもや!」
フトシとウッチーが、元気よく言った。
「で、タケシはどうするん?」
ウッチーが聞き返した。
「オレかあ? オレは決まってるぜ。毎日遊びまくる! 遊んで遊んで、遊びまくるぜ〜! あ〜っはっは〜!」
「あう…、そうやったな〜。アンタに聞くだけ、無駄やったねんな〜」
「そうバイ。タケちゃんにとっての休みと遊びは、ご飯とみそ汁みたいなもんバイ」
「いえいえ、ご飯とみそ汁言うより、みそ汁かけご飯をぐっちゃぐちゃに混ぜたくらいに、一体化してますからね。タケシ君の場合」
「し、失礼なやつらだな〜!」
『あはははは…』
4人は笑いながら外へ出ると、校門へと歩いた。
「そうそう、極秘情報があるんだぜ」
タケシが、3人に顔を近づけ小声で言った。
『極秘情報?』
「ああ、校長に聞いたんだ。ほら、鬼城島でのあの時…、鬼が“鬼の蓋石(おにのふたいし)”を動かしてオレたちを外へ出したあの時、鬼はまた中へ戻っただろう?
あのあと鬼は、銃で撃たれたキズもすぐに治たんだってよ。そしてあの光のモンスターに壊されたドームを、一人で元通りに修理したんだってさ。すげーよな!」
「なんだ、そんなことですか。だって、もともとあのトンネルやドームは、あの鬼が一人で作ったんですから、それを直すくらい、朝メシ前なんじゃないですか?」
「せやせや」
「バイ」
「な、なんだよ。ひとがせっかく、極秘情報を教えてやったのに」
言って損した気分のタケシ。
「でもウチ…、もう一度あの鬼さんに、会いたいな…」
ウッチーがつぶやいた。
「あー、オレもオレも!」
「ボクもバイ!」
「そうですね。ボクも、もう一度見てみたいです!」
ウッチーの言葉に、3人もうなずいた。
「それは無理じゃよ、君たち」
いつの間にか、校長が4人の目の前に立っていた。
いや、というより、校門の横に立ち子どもたちにサヨナラを言っている校長の前に、4人が近づいていただけなのだが。
「ソウデ〜ス。アノモンスターノ事ハ、忘レルノデ〜ス」
「サヨウデゴザル。アレハ、鬼城島伝説ノ鬼デゴザル。伝説ハ伝説ノママニシテオクノガ、一番デゴザルヨ」
校長の後ろで、ザックとゴザールが言った。
なんとこの二人、地べたにしゃがんでカマを持ち、草取りをしているではないか。
「げろげろ、よく言うぜ二人とも〜」
「校長先生、ええのん? この二人を英語の先生なんかに雇って〜」
タケシとウッチーが言った。
そう、この二人は帰国せず、この町に居ついてしまったのだ。
「英語の先生だけじゃないよ。ほれこの通り、雑用その他、なんでもやる校務員を兼任じゃ」
「その上、鬼城神社の神主見習(かんぬしみならい)いバイ!」
「その通りじゃよ、管野(すがの)くん。ワシには子どもがおらんからの、秘密を知っているこの二人に、ワシのあとを継いでもらうんじゃよ」
「ソウデ〜ス。私タチ兄弟、目ガ覚メマシタ。キャプテンクックノ、『世界平和ヲ願ウ意思』ヲ継ギマ〜ス」
「サヨウ、我ラ兄弟、子々孫々マデ、鬼城神社ト鬼城島ヲ、守ルデゴザル!」
二人は立ち上がり、右手で力強く握りこぶしを作った。
「人間、変われば変わるもんだなあ〜…。ま、あんなモンスターたちを見たんじゃ、そりゃ心も入れ替わるってもんかあ…」
タケシがうなずいた。
「まあボクとしては、英語の先生が二人も身近にいるってのは、うれしいですけどね」
デコはそう言うと、ニコッと笑った。
「まあいずれ、今回の騒動が町の人々の記憶から消えれば、また鬼に会うこともできるじゃろうて。実はあの鬼は、子どもたちの笑い声が大好きでのお…。
昔っから、ちょくちょく神社を抜け出してきては、校舎裏の林の中から子どもたちを眺めていたんじゃよ…」
4人は、校長と兄弟にサヨナラを言うと、校門を出て岬を見上げた。
夏本番の空は、どこまでも青く鬼城崎の後ろに広がっていた。
見おろせば、町の先に藍(あい)より青い海がキラキラと輝き、鬼城島がぽつんと浮かんでいる。
「さあ〜、遊ぶぞーーーーーーーーーー!!!!」
タケシの大声が、岬にこだました。
END
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