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18,アトランティス滅亡の真実、そしてボクたちの文明も!?
「た、助ケテクレーー!」
「ママー、デゴザルーーー!」
それは……、例えて言えば、“巨大なイソギンチャク”! それも、キラキラ輝く、光でできたイソギンチャク!!
箱から数メートル伸びる胴体と、その上に無数に伸び怪しくうごめく無数の触手。
その触手に体中からみつかれ、巻き付かれ、空中高く抱え上げられた、二人の兄弟。
触手はゆらゆらと動き、兄弟の体もゆらゆらと揺れていた。
「ひ…、光の…、化け物?」
海の中から頭だけ出した、タケシが言った。
「中にあったのは、宝石やなかったんや。今度もまた、アトランティスの生物だったんや」
「そうか、だから校長先生は、海に飛び込めと言ったんですね」
「そうバイ〜、アトランティスの宝なんて、最初から無かったんバイ〜」
他の3人も、海の中から頭だけ出して上を見上げていた。
「いや、あれこそがアトランティスの宝なのじゃ」
子どもたちの横で、胸から上を海面に出した校長が言った。
「ええっ? あれがアトランティスの宝やて?」
子どもたちは、一斉に校長へ顔を向けた。
「そう、あれこそがアトランティスの科学の粋を集めて作られた、光から作られた究極の生き物であり、ものすごいパワーを秘めた“宝”なのじゃよ。そのものすごいパワーで、アトランティスを滅亡に追いやったほどの…な」
『え〜〜〜〜〜〜〜〜っ!』
光に照らし出された子どもたちの顔が、一斉にひきつった。
「島で会ったアトランティス人最後の老人は、こう言ったそうじゃ。『アトランティスは究極の力を得た。ただし、その力を操ることができなかった。だから封印した』と。
あれは、決して開けてはならぬ箱だったのじゃ。いわばパンドラの箱。
それがこうして開けられてしまった。すぐに我々も、あの光に飲み込まれてしまうじゃろう。そして…、おそらく今の人類も、数日と持たず滅びてしまうかもしれん…」
『え〜〜!え〜〜〜〜!え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!』
子どもたちは、これ以上ないという声をあげた。
そう話している間にも、このイソギンチャク・モンスターはどんどん大きくなっていく。
「ウワアア…アアア〜〜〜〜〜!」
「ギャ〜〜〜〜〜!!」
悲鳴というのは、万国共通らしい。
触手でグルグル巻きにされた兄弟は、目の前に迫り来る“モノ”に恐怖の叫びをあげた。
いや、彼らの前にソレが迫って来るのではない、彼ら二人の体が、光の触手によって“ソコ”へ運ばれていたのだ。
フシャーーーーーーーーーー!!
光で出来た蒸気のようなものが、二人を包む。
それは、光のモンスターの、息。
二人は、どんどん巨大化するイソギンチャクの真上に持ち上げられ、その中央にある“口”へと近づいていたのだった。
直径数メートルはあろうかという円形の口は、回りに小さな触手をうごめかせ、開いたり閉じたりしていた。
そしてその口の中には、キラキラとまばゆいばかりに輝く、まるでダイヤモンドをとがらせたような“キバ”が、何十本も、奥へ奥へとらせんを描くように並んでいた!
「ヘル〜プ、ヘルプミ〜〜〜〜!!」
兄弟は、足をバタバタさせて必死に抵抗した。
が、近づくキバが、背の高い兄ザックの右足の靴先に、ザックと突き刺さった。
その瞬間!
ばきょーーーん!
ものすごい音を立てて、靴が光へと変わった!
靴の形をした光。その光の靴を、
バリバリバリ!
らせんのキバが、かみ砕きながら口の奥へと送った。
『ウゲエ〜プ』
モンスターは、うれしそうに光のゲップを吐き出した。
それはそうだ、彼にとっては何千年かぶりの食事だったのだ。
「☆▽★◇$Y∬яД仝〜〜〜!!」
その光景を間近に見た兄弟は、もう言葉にも声にもならない悲鳴をあげた。
「きゃああ、あの二人死んでしまうで〜〜!」
ウッチーが大声を上げた。
その瞬間、目の前の化け物の動きが、ピタリと止まった。
そして、ドーム天井まで届きそうに巨大化した体をゆっくりとくねらせ、上に開いた口を、海の中にいる子どもたちと校長の方へと向けた。
「え゛…」
5人の顔が見る見る青ざめ、ひきつった。
そう、モンスターは、新しい“食料”を見つけたのだ。それも五つも。
ビカーーーーーーッ!
それはバンザイの表現なのか?
モンスターの触手が、まるで太陽から放たれる光のように放射状に伸びた。
そして、
ドン・ドドン・ドン!
ドームの岩や天井を貫いた。
バキ、ビシッ、ドガラガラガラ・・・
衝撃で天井や壁の一部が崩れる。
「うっわーー!」
子どもたちと校長は、四方八方にドスン・バシャンと落ちてくる無数の岩に、身を寄せ合い震えた。
次にモンスターは伸ばした触手を縮めると、ザックとゴザールの兄弟を頭上に持ち上げたまま、その何十本という触手を、ズキューンと5人へ伸ばした!
「いかん、水中へ潜るのじゃ、早く〜〜!」
校長が叫ぶ。
その声と共に5人は、海の中へと頭をしずめた。
しかし、
バシャバシャバシャバシャーーーーーン!
もの凄い音を立てて、触手がその後を追った。
「ちくしょーー!」
「く、苦しいばい〜〜!」
「いやですよ、ボク、こんなところで死ぬのは〜〜!」
「うちもや〜〜!」
子どもたちは次々と触手にとらえられ、兄弟たち同様モンスターの頭上へと持ち上げられた。まるでニンジンでも引き抜くように。
「おのれ、ΟΞΨΘξΧ〜…」
そして校長もまた捉えられ、例のアトランティスの言葉で命令を試みたが、まるで効き目がなかった。
こうして、兄弟、子どもたち、校長の7人全員が捉えられ、モンスターの頭上で、ぐるぐる巻きの状態でゆらゆらと揺れていた。
「♪♪…」
モンスターのうれしい声が聞こえてきそうな気がした。
モンスターは、一時中断の食事を再開した。口を大きく開け、7人全員を近づけた。どうやらモンスターは、全員一気食いをするつもりらしい。
『◆♀△◯ヌネュ∠∇хШ〜〜〜〜!!!』
絶体絶命、全員が言葉にも声にもならない悲鳴を上げた!
私、筆者も思わず声をあげた!
「ナムアミダブツ、アーメン…」
こうして、全員がその口に飲み込まれようとした、
その時、
ドッバーーーーーーーーーーーン!!
岸辺から10メートルほど先の海面に、すさまじい水柱が上がった!
その中から!
「ゴルアアアアーーーー!!!!!!」
ものすごい雄叫びと共に、鬼が出現した!
鬼は水しぶきと共に空中へ飛び上がると、そのまま大きな放物線を描き、巨大イソギンチャクの胴体へ、ズドーン!と真正面からぶち当たった。
鬼の巨体をしても、イソギンチャクの胴体は、なおバカでかかった。
まるで大木にしがみつく蝉のように、鬼はその胴体の真ん中あたりに、大きく手を広げて抱きついていた。
イソギンチャクは、鬼の体当たりに一瞬動きを止めたが、鬼がしがみついているのを気にするでもないように、また7人を口へと運び始めた。
もはやどうしようもないのか!?
そう思った次の瞬間、胴体にしがみついた鬼の腕が左右に、ぐぐん!と伸び出した。
そして胴体を半周した反対側で、がっちりと左右の指を組み合わせたではないか。
ギリギリギリ!
締め付ける音が、ドームに響く。
鬼は、その渾身の力を込めて、イソギンチャクの胴体を締め上げた!
バチバチバチーーーーーー!!
胴体は、くびれ、巨大花火のような光のツブが、その回りに飛び散った!
苦しいのか、イソギンチャクは全ての触手をビーン! と四方へ伸ばした。
そしてやがて、そのまま下へグニャグニャと、しおれるように触手をうなだらせた。
「た、助かった?」
7人の体は砂浜にあった。
全員その緩くなった触手を体からふりほどくと、浜の隅へ逃げた。そして岩かげから鬼とイソギンチャクの戦いを、血の気のひいたままの顔で見上げた。
「お、鬼が生きてたぜ…」
「ウチらを、守ってくれたんや」
「助かったバイ〜。え〜ん…」
「いや、まだですよ。あの光のモンスターをやっつけない限り、ボクたち助かったワケじゃ…」
「いや、もう安心じゃ!」
岩にしがみついている4人の後ろで、校長が言った。
「え?」
振り返る子どもたち。
「ホワイ?」(なぜ?)
さらにその後ろにいる兄弟の、ゴザールも聞いた。
「ふおっふぉっふぉ。見てれば分かるよ」
校長の言うとおり、目の前で繰り広げられているモンスター同士の戦いは、鬼の方が有利だった。
鬼の腕で激しく締め付けられた巨大イソギンチャクは、初めのうちこそ激しい光を放ってのたうち、触手を鬼にからみつけ抵抗していたが、やがてその動きは止まり、全ての触手を下へと垂れてしまった。
「グガアアーーーーー!」
鬼は、銃で撃たれたその肩と背中に血を噴き出しながらも、さらにイソギンチャクを締め上げた。
ギリギリギリ…!
それにつれてイソギンチャクの胴体は徐々に縮みだし、その高さも低くなっていった。
鬼の腕もだんだん元の長さに戻ると共に、その足も砂浜へと着地した。
「すげえ、なんか、でかいおにぎりを作ってるみたいだぜ」
鬼は、イソギンチャクが自分の体より小さくなると、それを持ち上げ、押しつぶすように両手のひらでもみ縮めた。
それはもうイソギンチャクの形はしていない。
バスケットボールほどの大きさの、たくさんの宝石をちりばめたような、光の球体になっていた。
鬼はそれを持って、兄弟が掘り出した箱へと近づいた。
そして箱に球体を入れるとフタをして、また掘った穴へと戻して上から砂をかけ、さらにその上に赤い×印のついた岩を乗せた。
「さあ、行こうかの」
校長は岩かげから出て、鬼へと近づいた。
それを見て子どもたちも、恐る恐るその後ろへ続いた。
「も、元通りバイ…」
校長の後ろから、×印の岩をのぞく子どもたち。
「この光のモンスターが、アトランティスを滅ぼそうとした時に、生き残ったアトランティス人の科学者が最後の力を振り絞って、モンスターを封印するモンスター、つまりこの、君たちの言う“鬼”を作ったのじゃ」
「へー…、そうやったんや」
子どもたちは、岩の傍らに立つ鬼を見上げた。
「でも、オレたち鬼城島町の人間にとっちゃ、やっぱ鬼は鬼だよな!」
「でも、いい鬼バイ!」
「そうです。ボクたちの、命の恩人、いや、恩“鬼”です!」
「ふぉっふぉっふぉ。恩鬼とな。それはいい」
子どもと校長に笑顔が戻った。
「ウオ?」
鬼もまた、うれしそうに小首をかしげた。
「ガッデーム! アトランティスノ財宝ガ、実ハ、モンスターダッタトハ…」
「兄者、コレコソ、骨折リ損ノ、クタビレモウケ、デゴザルナ」
5人の少し後ろで、肩を落とした兄弟がつぶやいた。
「ガーーーーーーーーーッ!」
それを見た鬼が、二人に襲いかかった!
「ヒ、ヒイイーーー!」
二人は命が助かって忘れていたが、鬼にとって二人は、校長と子どもたちの敵! そして自分を銃で撃った憎い敵なのだ!!
「ΨΔηξΤ!!」
と、そこへ校長の声。
間一髪、鬼の体は兄弟の前で止まった。
そしてその両腕は、あと数センチで二人の頭を握りつぶせる所にあった。
「さて、どうするかの、アンダースン兄弟のお二人さん」
校長が鬼の横に来て、震える二人に聞いた。
「ド、ドウスル、トハ?…」
「キャプテンクックのアトランティス財宝伝説、そしてここで体験したことを一切忘れて、無事自分たちの家へ帰るか、それともこのまま、財宝の横に仲良く眠るか…」
校長は、ニヤリと笑った。
「ヒ、ヒイイ、忘レマース。財宝伝説ノ事モ、コレマデノ事モ、オールナッシンングデース! 全テ忘レマース!」
「セ、拙者ナンテ、モウ忘レタデゴザル! アナタ、何イッテルデゴザルカ、拙者日本ニ行ッタ事ナンテ、一度モナイデゴザルヨ〜!」
二人はそう言いながら、その場にへたりこんだ。
「ふぉっふぉっふぉっふぉ!」
「あははははは…」
校長と子どもたちの笑い声が、ドームにこだました。
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