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四、核ミサイルエクスプレス その2
「ひっく、う〜い、ゆかいだな〜大地、楽しんでるか〜? ぎゃはははははは………」
口にスルメをくわえ顔を真っ赤にした雷羅が、食事を終えたばかりの大地の横に座り楽しそうに肩を組んできた。
その口から、モワ〜ッと漂う酒臭い息。
「あー、雷羅お前、未成年のくせして酒飲んでるなあ?」
見ると、手にはしっかりとどっかの地酒の一升瓶が!
「未成年〜? ……それってもしかして、大人じゃないってことかあ?」
「そーだよ! 確か、お前もオレと同じ十六歳じゃなかったか?!」
そう言って大地が瓶を取り上げようとすると、雷羅はその手をよけ瓶を頭上に上げた。
そして、
ぎゃははは、こまかい事は言〜っこなしだって、だーいち♪ この時代はさ〜、自己責任さえ取れれば十六歳から大人なんだよ。オ・ト・ナ。 ムフフ……。。、ヒック…。それにあたしゃ、子供の頃から毎晩ワインで鍛えてるからね〜。どうだ、ほれ、大地も飲むか? ほーれ、飲め飲め! 遠慮すんなってば大地〜〜〜〜っ♪♪」
と言いながら狙いを定めると、今度はその一升瓶を、大地の口目がけ無理矢理突っ込んだ!
「よ、よせよ雷羅、よせったら! 飲まないって、飲・ま・な・い! だいたい飲む気分じゃ……ぶは! ゲホゲホ! ゲ・ゲホ〜〜〜〜???」
無理矢理流し込まれた酒に、むせる大地。
無理も無い、それはただの酒ではなかった。アルコール度数七十度はあろうかという、強烈な強烈な焼酎の原酒だったのだ!
「あ〜っ、いい度胸してるられーか大地! お前あたしの酒が、ヒック、うけられれ〜っれろらあ? このお、ペシペシペシ♪♪」
「ゲホゲホゲ……、いててっ! たたくな頭を、たたくな、こらっ、雷羅! う、だ、だーめだこりゃあ…こいつ完全に酔っぱらってやがらあ。チョ〜酒癖悪りぃ〜〜〜〜!」
そして!
「大地!!」
「う、な、なんだよ?」
今度は急に雷羅の目がすわった!
……頭と体はぐらぐらと揺れているが。
「ねえ大地、………ヒック、……………チュ〜……しよっか?」
「な、なに?」
「ねえ、チュ〜しようよぉ♪ チュウ、チュウ、チュウう〜〜〜〜〜〜〜っ。♪♪」
雷羅は口をとがらせながら、ガバと大地に抱きつくと、そのまま向こうへ押し倒した!
「わ〜〜、や、やめろバカ!!」
「な〜に恥ずかしがってるんだよ。言ったろ〜、ここでは自己責任さえ取れれば、十六歳から大人だって。♪♪ なんなら、あたし、もっとスゴイコトだってOKだぜぇ、大地ぃ〜〜〜。ホラホラ……。♪♪♪」
「わ〜〜、ムネをはだけるな、こ、こらオレのアソコに手を伸ばすな! お、落ち着け雷羅、ここは道だぞ道、天下の往来ってやつ! しっかり正気を保て〜〜〜!!」
大地は顔を真っ赤にし、あわてて雷羅を横へ押しやった。
「…………ちぇ………、つまんね〜ヤツう〜〜〜〜〜〜。ヒック。せっかくあたしが、大地になら全部あげてもいいと思ったのにい〜〜〜〜〜…ブツブツブツ………。」
雷羅はそう言いながら立ち上がると、今度はふらふらと路地の隅っこへ歩いていった。
そして、
「いいんだも〜ん。あたしゃ一人で、楽しいこと始めるんだも〜ん。うぷぷっ♪♪……」
と言うと、壁に向かって一人何やらゴソゴソとやり始めた。
もはや完全な酔っぱらい状態に、あきれる大地。
するとその後ろから、
「申し訳ありませんねえ、大地様。あの子、少々酒癖が悪くて……」
と、一人まだ後かたづけをしていた舞羅が、申し訳無さそうに謝ってきた。
「い、いえ〜、酔っぱらいは慣れてますから。ははは……」
そう言いながらポリポリと頭をかき、左前方に目をやってみせる大地。
舞羅がそっちを見ると、そこにはまだ、ザルを振り回し他の巡礼たちと楽しそうに踊りまくる、祖父の姿が。
「うふふ…………。そうみたいですわね。うふふ。」
「ええ。あはははは……。」
二人は顔を見合わせ、笑い出した。
「でも大地様……、あの子、根はすごく正直な子ですから、案外今のは本心かもしれませんよ。うふふ♪」
「え、ええ? ま、まさかあ?」
食事の後片付けも済み、やがて深夜となったが、まだまだ大全たちの宴会は続いていた。
しかし、紫蘭と未来はそんな騒ぎには加わらず、愛羅とともに路地の片隅で早々と眠りについていた。
そんな、仲良く眠る紫蘭と未来の寝姿を、大地は焚き火のところからぼんやりと眺めていた。未来は、この世界に来てからというもの、常に紫蘭に寄り添い、今この寝る寸前まで、かいがいしくその世話をしていたのだった。
「う〜ん……、まるで、仲のいい恋人どうしみたいだよな……。」
大地はそう独り言を言うと、そっと後ろを振り返った。
そこにはまだ壁に向かい、一人酔っぱらって何やら作業をする雷羅の姿が……。
「………本心ねえ…………」
ぽつりとつぶやき、その後ろ姿をじっと見つめる大地。
と、突然、
「で〜きたあ〜〜〜〜〜!」
雷羅が、叫びながら立ち上がった!
そして、不敵な笑みを浮かべつつ振り返ると、またまた大地に近寄ってきた。
「い?!」
思わず身構える大地!
「見て〜見て見て大地〜! ヒック。あたしってさ〜、やっぱ天才だね! ほ〜ら、拾ったゴミで作っちゃったあ♪」
「な、なに?」
「だからあ、アンタ付き合い悪いからあ〜、あたし一人で作っちったんらおね、打ち上げ花火♪♪」
「な、なにい?」
「だからあ、打ち上げ・は・な・び♪♪」
「なに〜〜〜! 打ち上げ花火い!? 」
見ると、雷羅の手には、直径二十センチくらいの黒い筒が!
「だからあ、そう言ってんじゃん。あ、喜んでる! その顔は喜んでる! うぷぷ、そんなに嬉しい? よ〜し、打ちあげよ、二人で♪ ねぇ〜〜、ねえねえ、一緒に上げようよってばあ、大地い〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪」
「う、嬉しくな〜い! ま、まて雷羅、いくらなんでも、そんなもんはマズイんじゃ……、あー、バカ! 地面に置くな、焚き火の火を持ってって………つけるなーーっ!」
「見てなよ大地ぃ、あたしが作った“一世一代の”打ちあげ花火ぃ〜♪♪♪」
「ま、またか〜〜〜〜!」
この出来事に、
「ら、雷羅?!」
近くでウトウトしていた舞羅も気付いた!
「な、何をする気ですか? おやめなさい! ここは屋敷のお庭とは違うのですよ。一般では、許可無く火薬を使うことは、禁止されて…あ、あ〜れぇ〜〜〜〜〜〜!!」
………後の祭りだった!
ドーーーーーーーーーーン! ヒュルルルル〜〜〜……
小さな街に、突如爆発音が響き、それに引き続いて何かが空を切る音がした!
かと思うと、
ドッガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンン!
その上空に、でっかいでっかい、でっか〜〜〜い花火が炸裂した!
いや、それは花火と言うには、あまりにもばかでかかった! そう、花火と言うより、それはもう“爆弾”と言った方が正確かもしれない!
爆弾が街を真昼以上に照らしたかと思うと、
グバババババババババババババーーーーーーーーーーーーーーーーッ!
と、激しい爆風が街を突き抜け、
ズッズズ…ウウウウウウウ〜〜〜〜〜〜〜ンン!
強烈な衝撃波が街を襲った!!
ドガラガラガラ…! パリーンパリパリ!
街中の建物は大震災のように震え、その壁は崩れ、窓ガラスが弾き飛んで行く!
この、街を襲った突然の事態に、
「きゃーーーーーーーーーーーっ!」
「助けてくれーーーーーーーーー!」
就寝していた人々は慌てて飛び起き、訳が分からないまま外へ逃げまどった!
悲鳴が飛び交い、パニックに包まれる真夜中の街!!!
そしてこの出来事に、
「な、何? どうしたの? なんの騒ぎ?」
「どうちたでちゅか?」
「……………!!!!!」
未来、愛羅、紫蘭の3人も驚いて、目を覚ました!
「ありゃりゃ、こりゃ、ちょっち火薬が多すぎたかな? はは、はは〜〜〜。ヒック!」
雷羅は、まぶしそうに目の上に手をかざすと、星空をさえぎりモクモクと立ち上るキノコ雲を、見上げた。
『ば……、ばか……!!!』
頭を抱える大地と舞羅。
「な、なんじゃあ〜? 何ごとじゃあ〜〜〜????? ヒック。」
大全もまた、ドジョウすくいのザルを頭に乗せ、片足を上げたまま固まっていた。
その時!
パ、パパパーーーーーーーーーーッ!!!
突如、大地たち一行を、何本もの強烈な光が照らし出した!
「いたぞーーーーっ! ここだあっ! 極悪指名手配犯、紫蘭王子一味を発見したぞーーーーっ!」
そう、それは、取り方衆が手に手に携えた、“御用”と書かれた文字が光る携帯用サーチライトの光!
そして、
ピ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!
街中を呼子の音が駆け抜けると、待ってましたとばかりに取り方衆が駆けつけ、大地たちは、瞬く間に何百人もの取り方衆に、十重二十重と取り囲まれてしまった!!
「しまったあ!!」
無数のライトに、くっきりとその姿を浮かび上がらせる、大地たち!!
「な、なんでバレたん??」
ライトの眩しさに目を細めながら、後ろを振り返る雷羅。
と、そこには、
『お前のせいだー!』
口をそろえ怒ってる仲間の姿が!
「こっ、こやつら、今度はこの街を吹っ飛ばそうとしているに違いない! みんな油断するな、それい!!」
昔の町奉行のような出で立ちで、頭に陣笠をかぶった取り方衆の長とおぼしき男が、ハタキのような指揮棒を前に振った! と、それを合図に取り方衆は、手に手に竹やりをかまえ、じりじりと円陣を狭め始めたのだった!
「やば!」
大地は、夕食のスキヤキを煮た薪の残りを素早く拾うと、両手で前に構えた!
「どうしよう、じいちゃん。こんな狭い路地にあの人数じゃ、オレたち全員突破するなんて不可能だよ!」
「うむむむむ………!」
一行はお互い背中を合わせ、包囲網を狭める取り方衆になす術もなく対峙した。
回りを取り方衆と建物の壁に囲まれては、どこにも逃げ場がなく、一行はもはや絶体絶命のピーーンチ! だったのだ。
「かかれーっ!」
「うおーーーーー!」
かけ声とともに、怒濤のごとく取り方衆が一斉に飛びかかった!!
これに対し大全が、その動きに合わるかのごとく、素早く前へ飛び出した!
「大地! こうなれば、天昇龍剣“盾”の秘奥義“自回斗円陣”(じぇっとえんじん)じゃあ!」
「お、おー! そうか! よっしゃあ、じいちゃん!! じぇっとえんじんだね!! ………って、えーと、そのじぇっとえんじんって、………どんなんだっけ?」
ガクッ!
と、その返答に、思わずずっこけそうになる大全!
「ば、バカモノ〜〜〜! んっとにお主は、修行が足りんの! こうするんじゃ〜〜!!」
大全は振り返ると、大地の耳を思いっきり引っ張り、
「あいた〜〜〜! いでででででで〜〜〜〜〜〜〜〜?????」
痛がる大地をそのまま引きずりながら、一行の回りをグルグルと走り始めた!
そして、
「………!」
この動きに、紫蘭もパッと反応した!
彼もまた素早く薪の一つを拾うと、二人の後に続き回転の線上に加わったのだ!!
「キエエエエエエイ!!」
大全は、まるでつむじ風のごとく回転しながら、迫り来る敵に向かって杖を繰り出した!
と!?
バキ! ガキイ!
目にも止まらぬ早さで、杖は次々と取り方衆に叩き込まれ、
「グアアッ!!」
「ギャアアッ!!」
その体を、次々と吹っ飛ばして行くではないか!
「そ、そうか、そう言うことかあ〜〜! イヤア〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
やっと何をするか分かった大地も、また、次々と薪を敵に叩き込み出した!
紫蘭は、当然のごとくそれよりも早く、かつ的確に防御と攻撃を繰り出していた!
三人は、姉妹と未来を円の中心に据え、均等な距離を置いてグルグル走りながら敵を倒し、その直径を徐々に大きくしていくのだった!
が、しかし、それもある程度までで、それ以上は円を大きく出来ないのだった! なぜなら、それ以上大きくすると、大地たち三人の距離が開いてしまい、その隙間から中へ竹やりを投げ込まれたり、あるいは体ごと突っ込まれたりする危険があったからなのだ!
さらに多勢に無勢、このままではいずれ疲れ果てて、防御が破られるのも時間の問題だった!
“絶体絶命のピーーンチ!”状態は、少しも変わらなかったのだ!
が、この二人の後ろでは、未だ呆然としている雷羅がいた。
「これって、あたしの……せい?」
そして、まだ酔っぱらっていた!
「そうか、あたしのせいだったのか〜〜! ぎゃははははは! よーしこうなりゃ、あたしが責任をとってやろうじゃないのぉさ! ヒック、ウ〜イ。」
雷羅は、またもやブレスレットの一つに、手をかけた!
「あーっ、雷羅! お前また何かやろうとしてるな? や、やめろ〜雷羅! 逃げ場が無いんだぞオレたち! オレたちを殺す気かあ! やめろー、頼む、雷羅、やめてくれ〜〜〜!」
雷羅の行動に気付き、走りながらわめく大地!
横にいた愛羅、舞羅、未来も、
「雷羅お姉ちゃま!」
「おやめなさい!」
「やめてー! マジ死んじゃう!」
と叫びながら雷羅に飛びかかり、その腕や足にしがみついた!
一行は、取り方衆の攻撃よりも、雷羅の行動にもっと身の危険を感じたのだ!
「てンめ〜ら、重ね重ね失礼なヤツだな! あたしがそう何度も失敗するとでも思ってんのか!」
『思ってる!』
紫蘭以外の全員が叫んだ!
「こ、このお〜! あ、紫蘭…」
動きを封じられた雷羅に、今度は、“円の動き”から素早く抜けた紫蘭が近付いた。
「よかった! 頼む紫蘭、コイツらをどけてくれ!」
「………!!」
紫蘭は無言でうなずくと、サッと雷羅の背後に回った。
そして……、
そして、その体をはがいじめにした!
そう、彼の顔もまた青ざめていたのだ!
「し、し、し、し、紫蘭、お前もか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
雷羅の頭の中で、
“プチッ!”
と、何かが切れる音がした!
かと思うと、
「ぎゃお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
雷羅は、突如雄叫びをあげ、暴れ出した!
しかも、これがなんという動き!
この駄々っ子のようなあまりのジタバタに、
「でちゅう?」
「きゃあっ!」
「あれ〜〜っ?!」
と、姉妹と未来は次々と吹っ飛ばされた!
そして紫蘭も、
「!!!??」
あっという間に振りほどかれてしまった!!
その前に、仁王立ちになる雷羅!
愛羅は、
「はあ、はあ、はあ…、オエ! はあ…、て、てめえら〜、後で覚えとけよお! いいか、よく見とけ。あたしがたった今、やつらの動きを、一瞬にして止めてみせるからよ!」
と、息を切らしながら叫ぶと、再びブレスレットに手をかけた!
「雷羅! あなたまさか、また時空間停止装置を!…」
「チッチッチ! 姉貴、だれがあんな失敗二度と繰り返すかよ! みんな驚け! 天才科学者雷羅様、一世一代の大発明、“重力G倍加装置・雷羅スペシャル!!”でえ〜い!!!」
「ぎゃ〜、やっぱりまた、“雷羅スペシャル”でちゅう〜!」
地面に伏せ頭を手で押え、泣き叫ぶ愛羅!
舞羅と未来、紫蘭もまた、愛羅同様両手で頭を押さえながら地面に身を伏せた!
この事態に、
「ら、雷羅〜〜!」
大地は“自回斗円陣”(じぇっとえんじん)の最中のため、叫ぶ以外どうすることも出来ず、
「ナムアミダブツ…」
大全もまた、観念したかのように念仏を唱えた!
「や〜〜かましいっっ!」
雷羅は、委細構わずそのスイッチを入れた!!!
瞬間!!!!!!!!
“…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………”
あたりは、閑とした静寂に包まれた?????
身動きする者何一つ無い、静寂????????????
そう、雷羅が宣言した通り、みんなの動きが瞬時に止まった!
確かに止まった!
が……、
それは、時間が止まったという訳ではないようだった! ただ、全ての者の動きがピタリと止まったのだ!
その体を、地面にへばりつけて???
「な、なんだ…こ…れ……」
「く、苦ちいでちゅう………」
そう、大地たちは、突然体にのしかかった“重さ”に身動きがとれなくなっていた!
いや、大地たちだけではない、雷羅を中心として半径数百メートルの者は全て、突然体の重さが何倍にもなり、ゴキブリホイホイにでも張り付いたかのように、地面にへばり付いていたのだった!
「へ、へへへ。見たかみんな!“重力G倍加装置・雷羅スペシャル!”の威力を! どうだ、一発で取り方衆の動きが止まっただろ? 今、ここいら一帯には何倍もの重力がかかっているから、だれも動け…な…い…………ぐ、ぐるじ〜〜〜〜………」
言いつつ雷羅も、自らも地面に顔をうずめ、じたばたと苦しんでいた。
「あ、アホ……か! 動き止めたのはいいけど……、オレたちまで止めて、どうする…? オレたち、どうやって逃げるんだよ。は、早く、装置止めろ……雷羅。ぐ、ぐえ〜〜〜……………。」
「そ、それが……、腕…重すぎて…動かせないんだ………ぐえええ、オエ…」
「や、やっぱ……、バカ科学者……で……ちゅ。…むぎゅう〜〜〜…」
今や、そのあまりの重力の強さに、もうだれも指一本動かせない状態になていた。
しかも恐ろしいことに、重力は、さらにどんどん強まっていってるようだった! みんなの体中の筋肉が、骨が、ミシミシときしむ!
そしてさらに、過重力は人間にだけかかっているのでは無かった! それは、回りの建物もまた然りだったのだ!
周りの建物も自重に絶えきれず、
ミシッ、ミシミシ……、ベキバキイ!
と、壁に亀裂を走らせだした!
さらにさらに恐ろしいことに、重力が増えたのは何も地上だけではなかったのだ!
なんと、みんながへばりついている“地面そのもの”にも、超強力な過重力がかかっていたのだった!
その地の底から、
ゴ・ゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
と、不気味な地響きが、象の足で踏んづけられたような一行の体に、直接響いた!
そして、ついに!
ガラガラガラガラ・ズッドーン……
重力に負けた周りの建物が、まるで爆破解体シーンを見るかのように崩れ落ち始めた!
「建物が崩れてきたー!」
「きゃーーーー!」
それも、通常の何倍もの落下加速度を持って!!!
が、幸いなことにこの街の住民たちは、先ほどの花火と取り方騒ぎでいち早く郊外へ避難し、この難を逃れていたのだった。人々は呆気にとられながら、遠く離れた場所からこの街の崩れゆく光景を見ていた。
一方、
『た、助けてくれ〜〜〜〜。』
もはや泣き叫ぶしかない、身動きのとれない人間ゴキブリたち!
「雷羅、なんとかしろお! たのむ……、な、なんとかしてくでえ〜〜〜…」
大地のこの必死の頼みにも、
「ぐえ〜、体が重すぎて……、酒と合わさって気持ちわりい〜…オエ…」
雷羅は、もはやなすすべがなかった。
「だ、だめだこりゃ!!」
その時!
バコン!!!!!
突如、強烈な衝撃が一行の体を襲った!
「ぎゃああ、な、なんだあ〜??!」
地面が………、窪んだ!!
なんと、大地たちは、雷羅を中心として、ボコッと数メートル落ち込んだすり鉢の底にいた!
これは、もはや地面そのものが、重力に耐えられないと言うことなのか? 地面は、なおもめり込んでいく!
そして!!
ズド・ギャラ・ガガ・ガ……
地球が悲鳴を上げた!
かと思うと、
ズッドーーーーーーーーーーーーーン!
ついに地の底が抜けた!!
「ギャア〜〜〜!」
猛烈な重力と振動に全身を打ち付けられ、痛みが体中を走る!!
すり鉢の窪みは瞬時に拡大し、まるで地獄の扉が開くかのように、ぱっくりと地面が口を開けていた!
「うっわーーーーーーー???!!!…………………」
それは、みんなの墓穴なのか!?
真っ暗な奈落に飲み込まれるかのように、一行はその中へと姿を消した!!!
(う、う………く、くるしい……)
気がつくと大地は、顔の上に何かがが覆いかぶさり、息が出来ない状態になっていた。
(な、なんだこれは?)
慌てて押しのけようとそれをつかむと、
ムニュ♪
温かくて柔らかい不思議な感触が、両の手のひらに伝わった。
(??……????……????)
それがなんなのかさっぱり分からないが、大地はあまりの息苦しさに、さらに力を入れムニュムニュとその手を動かした。
この時雷羅は、ペットのゴールデン・レトトカゲーと、庭で遊ぶ夢を見ていた。レトトカゲーは、嬉しそうに雷羅にじゃれつきながら、その体を芝生に押し倒した。
「きゃははは、プクプクったら、甘えん坊なんだからあ。あ、だめだよ、プクプク、そんなこと、あ、だめ、だめだ…よ……あん、あ、あ・あ・ああ〜〜〜…………………………ん? んんんっ!!!!!」
雷羅は、胸の辺りにかかる温かい吐息と、ムニュムニュうごめく感触に、目が覚めた!
「きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ! な、なにやってんだてめーは! このドスケベ・ドエッチ・ドヘンタイ〜〜〜〜!」
胸を押さえ、慌てて飛びのく雷羅!
「え?え? どわ〜〜〜〜〜?」
そう、大地は、雷羅の胸を思いっきり揉みほぐしていたのだ!
「ば、ばかやろう、さっきといい今といい、上に乗っかってきたのはそっちだろうが、この酔っぱらい女!」
大地は、顔を真っ赤にして反論した。
「な、なんだとお? ウソをつけ、ウソを!」
「ウソじゃねえ! さっきはオレにキス、い、いや、それ以上のことをしようとしたくせに!」
顔を真っ赤にし、胸をドキドキさせ言い合う二人!
「な、なにおー、いつ、あたしがそんなことを……し………」
しかし、雷羅の語尾はすぐに尻切れトンボとなった。
そして、
「…………」
大地の顔を、じーっと見つめた。
「な、なんだよ?」
「………あたしのムネ、大きかったろ?」
「な、なに……?」
雷羅はそう言うと、今度は自ら大地の手を取り、自分の胸に押し当てた!
「な、な〜〜〜??!!……」
驚く大地!
「あたしが、キス以上の事をしたって? ごめん、覚えてないんだ、大地。……だから、もう一度……」
雷羅は目をつぶり、そのまま顔を近づけた。
「〜〜〜〜〜〜?????!!」
パニクる大地の頭! 雷羅は、まだよっぱらっているのだろうか?
そして、その唇があと数ミリと近づいたとき、
「よ〜もこんな場面で、いちゃつけるもんじゃな、お前達?」
と、大全が横から声をかけた。
「ま、その様子では、どうやら二人とも無事なようじゃからして、一安心ではあるが。」
二人が見上げると、舞羅を抱きかかえた大全、舞羅と紫蘭、今度はその紫蘭に肩を支えられた未来が、二人を見ながら、あきれたような顔をして立っていた。どうやら未来は、穴の中へ落ちたときに左足首を痛めたらしい。
「愛羅!」
雷羅は、目を閉じたままの妹に気付くと、慌てて大全に駆け寄った。
「大丈夫、気を失っておるだけじゃ。どこにもケガは無い。」
「よ、よかった…」
雷羅は、愛羅の顔にそっと手をあてると、ほっと胸をなで下ろした。普段はケンカが絶えない二人だけど、やはりこんな時は姉妹なのだ。
「うわーっ、オレたち、あんなとこから落ちたのか。よく、助かったなあ……」
大地は上を見上げ、驚いた。
そこには、真っ暗な空間のずっと上の方にポッカリと小さな穴が開いていて、ライトをかざしのぞき込む取り方衆の姿が、まるで豆粒のように小さく見えているのだった。
この時!
「どわちちちち〜〜〜!」
突然、雷羅が腕を振り上げ、叫んだ!
「どうした?!」
見ると、ブレスレットの一つが、煙を出している!
雷羅は慌ててそれを外すと、素早く足下に投げ捨てた。
「あー、びっくりした。“重力G倍加装置・雷羅スペシャル”が、暴走して燃えだしやがったんだよ! ……あ? はっはーん、なるほど、そうか。穴に落ちる寸前、コイツが壊れて加重力が反転したんだ! それで助かったんだぜ、あたしら! いやー、そっかそっか、はっはっは〜〜ラッキ〜〜〜♪ なあ、みんな! ………ん? な、なんだよお前ら、その目は! その、人を軽蔑したような、眼差しはよ〜〜〜!!」
そう、雷羅の目の前には、
『……………………………………』
と、無言で、じーーーーーーーーーっと、自分を睨みつける目が並んでいたのだった!
「い、い、い…………いーじゃねーか、結果的にあたしたち、助かったんだからよーっ!」
開き直る雷羅。
「いや、まだ助かったとは、限らぬぞ。あの頭上の様子では、すぐにも取り方衆が降下してこよう。いったい………ここはどこじゃ?」
大全はもう一度上を見上てから、今度は徐々に暗闇に慣れてきた目で辺りを見回した。
そして同じく大地も、回りを確かめようと頭を動かした。
と!?
ゴンッ!
「あいた!」
と、何かが彼の頭に当たった!?
「なんだ…これ??????」
なで回してみると、金属のような冷たい感触が…………。
「?????????」
その時そこを、上からパッと取り方衆のライトが照らし出した。
そこに浮かび上がったモノは……!!
「……げえええっ!!!!!!!!!!」
大地たち古代人三人は、少しの間を置き絶句した!
そこにはなんと、大地たち“神世紀”の時代の人間ならすぐ分かる、直径数メートル長さ三十メートル以上はあろうかという、“巨大な円筒形の物体”が横たわっていたのだ!!
「う、ウソだろ……」
顔をひきつらせ、後ずさりする大地、そして大全、未来!
「かかか、核ミサイル………。そ、それもICBM級の…!」
未来の声が震えた!
そう、そこに横たわっていたモノ、それは、大陸間弾道弾!
核ミサイルだったのだ!!!!
「いったいここは?」
一行は、あらためて自分たちが立っている場所を見回した。
そこは、高さ十メートルほどもある、巨大な半円トンネルの中だった。一行の足下は巨大な金属の台になっており、その下には直径一メートルほどの車輪が多数並び、それが二本のレールに乗っていた。そして、そのレールは、トンネルの闇の奥へと消えている。
つまり、どうやら彼らは、大陸間弾道弾を乗せた、巨大な台車の上に落ちたのらしかった!!!
「未来さん、今、核ミサイルとか言いましたね…。それってもしかして、神話に言う“十八時間戦争で、この世を滅ぼせし悪魔の矢”……のことですか?」
青ざめた顔で舞羅が聞いた。
「十八時間戦争でこの世を………?! ……は、はは、は、それってもしかして、あたし達の文明は将来核戦争が起こって、しかもたった十八時間で滅びるってこと………? マジィ?」
初めて聞く新たな事実に、未来は驚きながら、逆に問い返した。
「……あ、てことはつまり、ここはミサイルを発射場まで運ぶ地下通路の中、ってことなのか? あ、てことは、もしかして、このトンネルは、今でもその場所に通じてるのかなあ?………」
大地は目をこらし、真っ暗なトンネルの奥を見つめた。
「ロープ投げーっ! 取り方衆第一部隊、降下よーい!」
この時、一行の頭上に、号令とともに無数のロープが投げ落とされた!
大全の言う通り、地上の取り方衆が、ロープを用意して素早く降下の準備を始めたのだ!
「ヤベ! すぐにも取り方衆が降下してきそうだぜ! 」
大地は、ざわめきが大きくなった頭上を見上げた。
「うーむ、ここからトンネルの奥に逃げるにしても、はたして出口があるかどうかじゃ…」
「大全のじっちゃん、なーに弱気になってんだよ! こーなりゃまたやつらと、一戦交えてやろうじゃねーかさあ!」
そう言うと雷羅は、
バンッ!
と、手のひらでミサイルを叩いた。
と?!
ぷしゅう……
と、同時に、なにかが漏れるような音が??…
「ん? な、なんの音だ?」
あたりを見回す雷羅。
実は、雷羅が叩いたのは、ミサイルのロケット噴射口の部分だった。音はその中から聞こえてくる!
シュウ…シュウ、シュウシュウシュウ〜!
徐々に大きくなる音に、一同は顔を見合わせた。
そして!
「…………………………が、ガス漏れだああ〜!!!!!」
「なんと、生きておるのかコイツ!」
「きゃ〜〜〜〜〜〜!」
叫び声を上げた!!
一行の目の前に、燃料の気化ガスにより冷やされた空気中の水分が、霧状に漂いはじめた!
「に、逃げろ〜〜〜〜〜!!」
慌てて先頭の方へ逃げる大地たち!
しかしまだ雷羅は、
「へ?」
噴射口を叩いた状態のまま固まっていた。
しかもその足下を見ると、さっき捨てたブレスレットがまだバチバチと火花を飛ばしているではないか!
そして!!
「え? えええ、え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜???」
雷羅が我に返り、その状況に気付くのと、
ド・ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!
と、腹に響く大音響とともに、燃料ガスに火花が引火したのは同時だった!
ゴ・ゴオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!
目の前を横切る、巨大な火柱!!
「ギョエエ〜〜〜〜〜〜〜〜!」
雷羅は、奇声に近い悲鳴を上げると、一目散でみんなの後を追った!
そしてこの時、穴の中に無数のロープを投げ込み、今まさに降下せんとしていた取り方衆の目の前にも、
ズドーーーーーーーーン!
と、巨大な火柱が立ち上がった!
「うっわーーーーー! な、なんだこれはーーー!! た、退避退避ーーー! 全員退避ーーーー!!!」
取り方衆たちは慌てふためき、そのケツや背中を火柱に焦がしながら命からがら建物の陰へと逃げ隠れた! それはまるで、火山の噴火でも見ているようだった!
こうして、取り方衆と街の人々は、恐怖におののきながら火柱を見上げるのだった!
「ど、どうなるんだオレたち〜〜〜〜!」
一行は台車前部で、ミサイルを固定しているワイヤーに、必死にしがみついていた。
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーー!
台車はロケット噴射の威力で動きだし、さらにぐんぐんと加速してレールの上を疾走していたのだ。
今やそのスピードは、時速百キロを悠に超えているのではないかと思われた。しかも、まだまだ加速を続けているのだった。
「う〜む、文字通りロケットのような加速ぢゃの!」
「ギャグ言ってる場合じゃねーよ、じいちゃん! このままじゃオレたち、振り落とされちまうぜええ!」
レールにカーブこそ無いものの、台車は一行の体をいつ吹っ飛ばすか分からないほどに、ガクガクガタガタと上下左右に激しく振動していた。
「とにかくまず、愛羅ちゃんをどうにしないと!」
大地と大全は向き合い、まだ気絶したままの愛羅を間に挟んでワイヤーにつかまっていた。
そして、この大地の数メートル先では、姉妹の巡礼服が風にはためき、小麦色&真っ白な二つの素肌が、その奥まではだけそうになっているのだった。
「あ、ありゃりゃ……」
思わず顔を赤くし、うつむく大地。
その時!
「ああっ!」
その舞羅の足が、台車から浮き上がった!
「あ、姉貴?!」
そして、まるで鯉のぼり状態となり、今にもとばされそうになったではないか!!
「ああっ……、ら、雷羅……、あたくし、手、手が、しびれてきましたわ……」
「は、離しちゃだめだぜ、舞羅姉貴! あーっ、危ない!!」
「きゃあーーーーっ!!」
雷羅が助けようと手を伸ばしたものの、間に合わず、一瞬早く姉の手がロープから放れてしまった!
吹っ飛ぶ舞羅!!
「あ、姉貴ーーー! あ、姉…………貴? ……………………………あ、あ〜〜〜っ! な、何やってんだよ姉貴、こら姉貴、大地から離れろ、こら、大地に変なことするんじゃねえ〜〜〜!」
青ざめていた雷羅の顔が、怒りで見る見る赤くなった!
「へ、変なことしたくてしてるんじゃ、……、あ、あの、大地様ごめんなさい、大丈夫ですかあ?」
舞羅もまた、その透き通るような白い素肌を真っ赤に染めて、自分の“股間”に顔をうずめる大地に聞いた。
「モ、モガモゴゴ〜〜〜、モガガ〜〜〜〜〜〜?」
「い、いやああん、やっぱり答えないで、しゃべらないでえ〜……」
さらに顔を赤くし、顔を左右に振りもだえる舞羅。
「こ、こら〜姉貴、感じてるんじゃねえ〜!」
なんと舞羅は、風圧に吹っ飛ばされたものの、大地の頭に“両足の間”でぶつかり、そのままそこのワイヤーにしがみついていたのだった。
もっとも、大地は突然目の前が真っ暗になり、何がなんだか分からないのだけど。
と、その時、
「みんな、こっちよーーーっ!」
未来が、台車の先から叫んだ!
その声に一行が顔を上げると、そこには、床からから上半身だけ出した、未来と紫蘭の姿があった。
二人は、ミサイル先のさらにその先に、台車下へと通じる円形のハッチを発見したのだった。
「よ、よっしゃあ!」
大地たちは、飛ばされないようお互い手をつなぎながら、“ほふく前進”でそこを目指した。
「ここはどうやら、この台車を動かす操縦室のようじゃな。」
全員無事中に入ると、一行はぐるりと辺りを見回した。
そこは鋼鉄の壁と機械に囲まれた畳三・四枚ほどの小さな空間で、唯一正面がガラス張りになっており、その下に電車の運転席にあるような装置類とイスが並んでいた。そのガラス窓の外には、真っ直ぐ延びる二本のレールとともに、トンネルの壁がロケット噴射で明るく照らし出されていたが、どれくらいのスピードが出ているのかは、もうあまりにも早すぎてよく分からなくなっていた。
そして数分が過ぎた時、
「あ、弱まっていく……」
未来は外の変化に気付いた。
光を反射し白く輝いていたトンネルの壁が、灰色、黄色、オレンジへと急激に色を変え始めたのだ。オレンジは赤に、そして赤は徐々に夕日が沈むように、再び闇へとバトンタッチを終わらせようとしていた。
「よかったあ。そんなに燃料残ってたわけじゃ無いんだな。」
ほっと胸を撫で下ろす大地。
みんなも安堵の汗を拭った。
しかし、
ガガガガガガガガガ……
ロケットの噴出はとうにやんだはずなのに、真っ暗な闇を疾走する台車のスピードは、一向にゆるむ気配が無かった。
「へんですわ…。スピードが全然落ちませんわね?」
「うん……、どうなってるんだ一体?」
真っ暗な中で、不安げに言葉を交わす舞羅と雷羅。
するとこの時、
「三半規管に受ける感覚を分析すると、どうやらあたちたち、斜め下に加速度を受けてまちゅよ。」
と、前の座席に寝かされていた愛羅が、状況を説明した。
「おう、気が付いたのか愛羅!」
「よかったあ!」
そばにすぐ駆け寄り、その顔色を確認し安堵する姉二人、そして大地たち。
「愛羅ちゃん、斜め下への加速度って…?」
「そうか、あたしたちずっと坂道を下ってるんだ! それでスピード落ちないのね!」
大地の質問に答えるように、未来がポンと手を打った。
これに、
「うん、そういやさっきの街は、王国の屋根と言われるヒマヤナ山脈にあるんだっけ。」
と、雷羅もうなずいた。
「ふむふむ……。と、言うことはじゃ、要するにこのトンネルは、動力がなくてもミサイル配備ができるよう作ってあるんじゃな、おそらく? うまいこと考えたもんじゃわい。」
「へぇ〜。」
大全の推測に、大地もまた感心したように声を上げた。
「この前にある装置のどれか一つにブレーキがあるのじゃろうが、もはやここで止まってもどうしようもあるまい。ここは一つこのまま、運を天に、いや、地下トンネルに任せるかの。いずれ、どこか終着駅に着くことじゃろうて。」
こうして大全の言うとおり、ミサイルと大地たち一行を載せた巨大な台車は、スピードを緩めることなく暗黒のチューブを疾走した。何時間も何時間も―― |
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