では、具体的に30ページの物語を描くつもりで、そのフローチャートを実際に考えてみましょう。

まず案を考えんとね。
物語は・・・そうですね、何がいいかな〜、う〜ん、なんも思い浮かばない。

そうそう、発想のコツは、普段見聞きしたり考えたりしていて、こんなのが読みたいなとか、こんな話しがあったら面白いな、こんなことが話しにならいかな・・・など、自分が読んでみたい、あるいは人に読ませたいという事を膨らませて物語にするといいでしょう。
描き手がまだ読者と年齢が近いうち(20代中頃まで?)は、絵柄や内容の時代性と言った物も読者の感覚と近いので、自由な発想で考えれば大丈夫です。
それ以後の人は、時代や風俗風物などを考えながら、適当に織り込んでいく、あるいは打ち出していく必要があります。(はやり物、言葉、いろんな製品・商品など。こち亀が典型?)

昔は、生活に根ざした、根底に社会的共通感のある物語が主流でした。地に足をつけつつ社会から半歩先を行く内容に、読者は共感しました。つまり、一作に沢山の読者がつくような共感性があったのです。
が、今は先が見えない時代です。総中流が崩れ、社会が多様化・深化し、明日は自分自身や社会がどう変化しているか、まるで分からない時代になっています。
一昔前の社会的共通感というものが、どんどん希薄になっているのです。
そしてそれに変わって形成されつつある今の社会は、各々が自分のライフスタイルを持ち個性化し専門化してきています。

そういうこともあって今は、細分化専門化された物語や、逆にこの社会から完全に乖離(かいり)した異世界・別世界の物語などが、主流となっています。
マニアック、おたく、専門・・言い方は様々ですが、そういうより高度で知的ピーキーな内容を含んだ物語が、ほとんどのような気がします。
てことで、そういった専門的な分野の物語を描くことや、その取材能力も重要になってくると思います。

なんてことは、さておいて、では、物語を。
なんか組み合わせてみるかな。それとも、・・なんか適当に思い浮かべてみましょうか。
(取材が必要な内容もめんどくさいし〜。って、言ってることが違う〜?)

宇宙、豆腐、時計、漫画、パソコン、妖怪、隕石、新聞、コーヒー・・・
頭に浮かんだ物の中から選んでみるかな。
うん、妖怪でいってみるかあ。
そうねえ、物語は、中学生、妖怪、妖怪の王様、女の子・・

「中学生が、妖怪の王様になる話し」
に決定。(この間数分。いい加減〜)
う〜ん、でもなんかイマイチ物足りないな。
これに何かくっつけてみるか、携帯、女の子、女の妖怪、夜食、カップヌードル・・・
中学生は実は妖怪の子孫、女の子は実は妖怪の子孫、う〜ん、イマイチ。
ネットオークション、ネット懸賞、カッパの皿送ってくる・・う、これで行ってみるか。
伏線として、女の子との恋。

 話しの流れとしては
皿送ってくる−注意書き「頭に載せるな」−載せる、頭にくっつく−背中に甲羅−カッパに変身−メール届く、「○○で待ってる」−深夜行く−女の子−カッパ−男がいなくて絶滅の危機−あたしと結婚してカッパ族の復興を−そこを襲われる−実は男カッパがいなくなったのは妖怪の権力闘争のせい−次々と妖怪が襲ってくる−面白いワザで返り討ちしつつ逃げる−戦い−追いつめられる−敵の大将出てくる−戦い−なにかのどんでん返し−勝利?−ラスト、実は皿は簡単にはずれる仕掛け(呪文など)で人間でありながら妖怪の王様に。

って話しで行ってみよう。

 個々の設定を考えてみよう。
少年に送った(選んだ)意味付け。偶然か選ばれたのか。
 「選ばれた」場合の設定
少年は水泳チャンピオン、カナヅチ、またはカッパ的にはいい男・・
 カッパ少女の設定
カッパ族最後の女の子、プリンセス、あるいはカッパではなく雪女、あるいは人間・・
 敵の大将の設定
かつてカッパ族と勢力を二分した存在、男? 女? あるいは妖魔界の魔界のもの、少女に恋してる、ぶ男、美男子・・
 敵の仲間の設定
おもしろい妖怪、へんな妖怪、あるいは妖魔界の魔界のもの・・

一応これくらいで考えて、とりあえずフローチャートで流れを作りつつ、設定と話しを組み合わせてみましょう。

ところでその前に、イラストと漫画の違いは何だと思いますか?
漫画とイラストの違い・・
簡単に言えば、「イラストはイメージ」「漫画はシーン」です。
漫画は、シーンの連続で成り立っています。これは映画やドラマと同じです。ドラマのシナリオはまさしくそうですね。物語をシーンごとに文章にした物です。
つまり一つの漫画を描くと言うことは、映画やドラマと同じく、シーンをつないで行くということなのです。
フローチャート作りも、このシーンをつなぐことで考えていきます。

では、実際にフローチャートを作ってみましょう。
 図5

と、一応これくらいで作ってみました。枠内にシーンを、その下には中に入れたい内容を
書き出しています。
そしてワク上には、おおよその割り振りページを書いています。
でも、多分これでは内容多すぎ。ネーム段階で、かなり手直しすることになるでしょうけど・・・

う〜ん、でもこれだとなんかイマイチだなあ。最初のつかみも弱いし・・・
てことで作り直し。

そして、試行錯誤の末、できあがったのがコレです。

図6

最初に考えた設定とはだいぶ変わりましたが、ま、こんなもんでしょう。
物語としてのシーンの流れ、キーワード、そしてそれに必要な最初のシーン。
フローチャートでシーンをつなぎ、その下に必要な内容のメモを書き、キーワードを配置し、それらを線でつないでみました。
分かりづらい? 申し訳ない。でもいいんです。要は自分が分かればOK。それに、ネーム段階で試行錯誤するうちに内容はまた変わるはずだし。

まあ、とりあえずはこれくらいで、では、いよいよネームを作ってみましょう。

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