漫画の書き方・作画基礎編

 その1、キャラクターを作ろう

キャラクターとは「キャラクター=性格」ということで、文字通り性格づけした人物のことです。
筋書に沿ってキャラ付けしたり、あるいは魅力的なキャラを考えてストーリーを膨らませたりしていきます。

 たとえばこんなふうに・・・そうですね、これもまず軽く設定を考えてみましょうか。

 今から20年ほど前、謎の宇宙生物人形「クリーチャー・シリーズ」が売り出された。それは全12種類あったのだが、たいした人気もなく原型師の急死により終了した。
 が、その後、同じ型から作られたにもかかわらず、微妙にポーズや目の位置が違う物が次々と発見され、アンティークマニアの世界では密かな話題となっていた。
「この人形の原型は、本物のクリーチャーではないのか?」と。
 そして20年後、一人の少年が祖父が使っていた屋根裏で、その原型12体を発見する。彼は知らなかったが、祖父は、実は宇宙生物学者だった。
彼はそれをテレビの鑑定団に出品する。オモチャ専門の鑑定士トイズ・北原氏が絶賛し、高値を付けて上記のエピソードを紹介する。
 そして、それが放映されたところから、物語は始まる・・・

と、後は展開的に設定を練るとして、とりあえずこれを元にキャラクターを考えてみましょうか。
題名は、そうですねえ〜「クリーチャーボーイズ」ってことで。

 いやあ、こんなストーリーやキャラ描いたことないので、イマイチですが。
性格や特徴を考え、それを書き出し、それに合うようなキャラクターを描き出します。
つまり、性別、身長、髪型、服装、表情やクセ、ポケモンのカードみたいなグッズや特殊能力など、特徴を書き出して、それをキャラクターとして描いていきます。
 そして、キャラを考えながらストーリーを考え、またストーリーを考えながらキャラ作りにフィードバックしたりして、相乗効果でストーリー・キャラとも膨らませて行きましょう。(やっていくと、自然にそういう作業になるはずです)
 その作業を繰り返すうちに、だんだんとストーリー・キャラとも完成していくはずです。そしてそれが魅力的なキャラなら、ストーリーを考えると言うより勝手に動きだしてくれるでしょう。

 その2、作画の基礎

漫画やイラストが絵画などと違う点は、その作画性の強さにあります。
一般的な絵画の練習方法としては、写生やデッサン、クロッキーなどの基礎勉強が重要になります。
しかし漫画やイラストにとっては、+作画力が重要なのです。
簡単に言えば、「見てきたようにウソを描き」です。

 そこで重要になるのが、パースです。パースとは、パースペクティブのことで、遠近法を使った透視図法と呼ばれる作画技法の事です。
これを簡単に説明すると

 となります。
このパース技法は、詳しく説明すれば本の一冊や二冊は必要なものです。
私自身、パース解説や技法の本を買ったり友達からもらったりして、デッサンなどと共に最初に勉強しました。
これで背景などは一通り描けるようになるのですが、その本当の重要性を認識するのは、何年も後になってからのことでした。
 バカボンやちびまる子ちゃんなどのギャグ系天才、しりあがり寿などのヘタウマ系、あるいはジミー大西などの絵画的天才系の才能を持つのならともかく、普通に漫画やイラスト、あるいはアニメのプロを目指す上では、パース技法を理解しないままいくら描き込んでも行っても、いつか必ず壁にぶつかってしまいます。
 ということで皆さんも是非、パース解説や技法の本を買ってきて、しっかりと勉強してみてください。

 では、実際に人物を描いてみましょう。
絵画系のデッサンやクロッキー、そして一般的な漫画の描き方がこれだと思います。
皆さんも漫画を描く時は、こういう描き方からの発展系で描いていると思います。
しかしこれでは、体のバランスや左右の手足の位置とか苦労しませんか?
立った絵だけでも、かなり苦労をすると思います。なぜならそれは、感覚的に向きや位置を決めようとしているからで、どっかを直せばまたどっかがバランス悪くなるという繰り返しに陥ってしまうからです。
 漫画も絵画と同様デッサンは重要です。絵画の場合、デッサンやクロッキーを沢山こなすことが重要ですが、漫画は作画ですので、絵を作って行かなければなりません。それも素早く、沢山。
その時必要になるのが、デッサン力と共にパース技法なのです。

 「デッサンは分かるけど・・・人物描くのにパースが必要?」
そう思うかもしれませんが、論より証拠、パース線を入れた人物の描き方を描いてみましょう
 1、まず水平線(地平線ともいいます)を一本引きます。
 2、上下に遠近のある線を入れます
 3、その線に合わせて人体を描き込みます。

水平線とは、その絵を描いた人の目線の高さです。写真で言えば、撮ったカメラの位置です。
この水平線はどこまでいっても高さが同じになります。そして無限遠の消失点の基準となる線です。
 たとえば、学校の廊下で立ったり座ったりして廊下の先を見てみてください。自分の目線の高さと同じ高さの部分が一直線に見えるはずです。
分かりやすく言えば、立った目線で立った人たちを描けば、身長が同じなら必ず同じ高さに顔の位置が来るというわけです。
また、ビルの屋上や山の上に登って、遠くを見渡してみてください。眼下に広がる風景が、遠くへ行くほど自分の目線の高さに上がっていくのが分かるでしょう。

 ただし、パースとはあくまで技法です。人の目の構造は球体なので、広い視野でも歪みなく見えます。しかし絵は平面に描くので、目ほどの視野角はとれません。
そして歪みのない範囲は上下左右60度までと言われます。(視錐角と言います)

そこで、人物画に関しては厳密なパース線は必要ありません。パース的な線で十分なのです。(漫画ですから)
では、そのパース(的な)線を引いて、その上にいろいろな高さで人体を描いてみましょう。
 どうでしょう、線に合わせて描くだけで、バランス良く簡単に描けると思いませんか?
そして、一つ気づくと思います。
水辺線から上が見上げる形(一般的にアオリといいます)、水平線から下が見おろす形(一般的に俯瞰・フカンといいます。厳密には違いますが)になっているのを。
なぜならそこが描いている人の目線の高さ、つまりカメラの高さになるからです。

 こうして、体の各部分の位置関係が立体的に掴めるようになると、だんだんと自由に人物が描けるようになります。
さらに、このパース線に強弱をつける、つまりデフォルメ(誇張)することで、それを元にして、絵自体も違和感なく(違和感越えた表現でも)納得させるデフォルメができるのです。

つまり、ちゃんとした絵を描けるからこそ、デフォルメしたりいろんな構図や構成で、自在に絵が描けるようになるというわけです。
(これは人物のみならず、建物とか車とか背景とか、いろんな事に使われます)

 このパースのデフォルメは、絵画でも見受けられます。有名なのは、ダヴィンチの「受胎告知」でしょう。天使がマリアにキリストを身ごもったことを知らせる絵で、意図的にパースをずらして作画されているそうです。また、「最後の晩餐」も建物と人物の位置関係をありえない構図にしてあるそうです。(ともにNHKでやっていた)
また、中学の頃だったか美術の教科書で、逆パースで描かれた絵を見たこともあります。多分キリストだと思うのですが、仰向けに横たわった体を足下を手前に描いてありました。そしてその絵は手前の足が小さく、奥の頭部に向かって大きくなるように描かれていました。(解説にそう書いてあった)

  ちゃんとした絵が描けるということはウソも描けるし、構図やコマ構成、そして絵の組み合わせが自在に出来るようになると言うことです。
つまり、パース技法は、人物や背景の作画、そして構図、他の絵やコマとの構成等すべての基礎となるものですから、(天才でもヘタウマでもない人は)一度勉強してみてください。

 もっとも上記の描き方は、パースの基本を知っておくと、沢山描くうちに無意識に身に付いたり、気づいたりするものではあります。
ただし、沢山描いてもこれに気づかないままだと、固定化した絵しか描けなかったり、ロングとアップの描き分けができずに、ただ拡大縮小しただけのような絵を描きがちになったりします。
漫画誌サイズも原稿サイズも限られていますが、それをはみ出すくらいに使い切るためにも、一度お試しください。

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